February 19, 2005
lift yr. skinny hands like antennas to heaven! / Godspeed You! Black Emperor
『Sleep』試聴はこちら
(mp3)
希望という名の下に
音楽に対して真摯であることはときに恐ろしく助長だ。そこにある何かを伝えるために積み上げていくひとつひとつが必須のものとなり、削ることの出来ない要素に変わる。ポップ・ミュージックが4分間という呪縛から逃れ得ないのは、あくまでコマーシャルと大衆心理に依る。そこから離れるほど、それはポップの本質から外れ、背後にあったアーティストのエゴがむき出しになってくる。
Godspeed You! Black Emperorはカナダで結成された。グループ名の由来は80年代日本にあった暴走族(30代の方にはなじみ深いかも)から、ともいわれる。当初から非常にポリティカル・コンシャス/アンチ・コマーシャルなグループであったようで、ジャケットやタイトルにもアジ的な文章が踊る。メンバーの構成自体も相当に流動的であり、核となる9人のメンバーに倍近い人数が加わり、常時十数人の編成でツアーを行っている。またメンバーの顔写真はいっさい公表せず、彼らの地元レーベルConstellation及びオフィシャル・ページに数枚の写真があるのみだ。インタビューすら基本的には受けないという。最新作Yanqui U.X.Oではスリーブに「リスナーはチェーン店系ストアを利用すべきではない」旨まで記している。反商業主義もここまで徹底すると清々しいほどだが、逆にここまでしなければ現状ロックは音楽足り得ないのだろうか。
lift yr. skinny hands like antennas to heaven!はGY!BEが2000年に発表したアナログ、CDともに2枚組というアルバムだ。が、90分に及ぶこの作品の収録曲数はたったの4曲である。それぞれのトラックは20分もしくはそれ以上に及ぶ。ビルドアップは見事だ。プログレッシブロックの再来といわれる理由もここにあるように思う。だがここで語られるべきはテクニックや構成力ではなく、徹底したストイシズム、そしてらせん状に加速していくダイナミズムだ。
フレンチホーン、ストリングス、分厚いギターのアンサンブル、そして重く確実に刻まれるドラムとベース、各楽器が一つのラインに折り重なるように積み上げられていき、ノイズの臨界点に達すると同時にまた別のラインが顕われ、そこにフィールド音や朗読の声がコラージュされ…といった繰り返しで曲は進行していく。だが決して複雑に陥ることがない。そこには名状しがたい希望と美しさがある。
選択や自由意志といったものが幻想に貶められがちな世界に、GY!BEの伝えようとする言葉は”不屈の薄明”として、息づく。
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
(By "Q" Okada )
【製品情報】
Amazon価格: ¥1,969
オリジナル盤発売:2000年
Posted by muzseek at
|
(0)
|
December 06, 2004
Faking the Books / Lali Puna
陽だまりの音
どの土地にもそこに根ざした季節の匂いというのがある。春、自転車に乗っているときに感じる湿って緑色をした風、桜に降りかかる雨、夕立に上っていく熱気を帯びたアスファルト。そして午後の日差しがつくる冬の陽だまり…
Lali Punaの所属するmorr musicは良質のエレクトロニカ、ポスト・ポップを多数輩出するドイツのレーベルだ。所属のアーティストもThe Notwistを始めとしてMum、Isan、Styrofoam、Ms.John Sodaなどそれぞれに温度の異なる面々が並ぶ。共通するレーベルのカラーとしては、グリッチ等のエレクトロニックな部分と生の演奏を織り交ぜ、かつポップである、といったところだろうか。
現在もThe Notwistのメインメンバーとして活躍するMarkus Acher、ヴォーカル/キーボードを担当するValerie Trebeljahrを中心に、Lali Puna単独としては「Faking the Books』は3枚目のアルバムとなる。前2作までのエレクトロニック路線はそのままに、初めてギターを中心に据えたプロダクションによって、ポップさが増した。なにより全曲メロディーが素晴らしい!刻み込まれたヴォーカルが不思議な浮遊感を生むT1 Faking the Booksに始まり、T3 Micronomic、先行シングルとなったT9 Left Handedの時速40kmの疾走感と清々しさ、T10 Alienationなどスローナンバーのグリッチ感、ぼんやりとしてせつないメロウさと、かなりの良曲が揃っている。
ギターが盛り込まれたとはいえ、その音はあくまでエレクトロニカというムーブメントを通過した後の、全てを素材として並列に扱う手法に根ざしている。そして各曲に漂う冬枯れした芝生のような暖かさは非常に心地良い。
現在USツアーを敢行中の彼ら。レーベル内における各グループの交流も活発なようで、先日リリースされたStyrofoamのアルバムにはMarkas、Valerie嬢が共に参加している。
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
(By "Q" Okada )
【製品情報】
Amazon価格: ¥1,860
オリジナル盤発売:2004年
Posted by muzseek at
|
(0)
|
December 01, 2004
( ) / Sigur Ros
『Untitled(aka. Nothing Song)』試聴はこちら
(mp3)
午前4時半のテーマ
僕は部屋の古くて煤けたストーブの前に座っている。起き抜けのまま、ユルユルと湯気の上がるコーヒーマグを両手に捧げ、ボンヤリとフランネルのブランケットにくるまって、外を見る。昨日まで降っていた雪はピタリとやんででいて、夜はまだ明けない。空は薄紫色に滲んで透明に、世界はゆっくりと止まったまま…
4人編成、アイスランド出身、あまり知られていない1stを含めオリジナル・アルバム3枚をリリース。シガー・ロス(Victory Roseというほどの意味らしい)が産みだしてきた音には音楽の持つ永劫性やら、希望や混沌やらそんな様々が細かい雪のように結晶している。
このアルバム「( )」は本国、そしてアメリカで大きな評価を得た2nd 「Agaetis Byrjun」から2年後の2002年に発表された。タイトルの意味するところは『無題』。CD自体、ライナーにSigur-Ros.comの表記があるだけでクレジットはおろか曲名すら載っていない(実際のところ通称はあるのだけれど)。作品全体の雰囲気も真っ白なパッケージを象徴するかのようにミニマリスティックだ。詞に至ってはヴォーカリスト、ジョンジーによる造語(曰く”リスナーがそれぞれに解釈を与えてくれればいい”)という。ここまで徹底的に無名性を追求する作品は無かったのではなかろうか?2ndにあった装飾や展開の豊かさは削ぎ落とされ、ひたすらに繰り返されるテーマと積み上げられる音、それぞれはノイズの一音にまで意味があるかのように響く。T1のオルガンのシンプルなラインから始まり、T4の静かで暗示的な流れ、そしてそれぞれ10分を超えるT7、T8を最後にそれは優しく、混沌としたノイズの中へ消え入っていく。
あんなにも凍てついた場所から届いた音がなぜこんなに優しく、暖かいのだろう?毎年、冬がくるたびに彼らのレコードを引っ張りだしては、不思議にこの疑問を繰り返す。
そして、それはちょうどあの夜明け前に聴こえてきた、そんな音なんだと思う。
Sleep Walker
日本における最古参(?)のファンサイト。オフィシャルからもリンクが張られている。
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
(By "Q" Okada )
【製品情報】
Amazon価格: ¥1,453
オリジナル盤発売:2002年
初めてこのバンドをNY Beacon Theatreで観たときの印象を今もって忘れずにいる。ギブソンの真っ黒なレスポールを、最初は冗談かと思ったが、チェロの弓で弾きむしるヴォーカリスト。常時ファルセットを貫く彼は聞いたことの無い言葉を唄い、ドラマーも含め、キーボードからエフェクターから曲ごとに持ち場を換えるメンバーたち。しかし、そこから溢れてくる情感に富んだ音の一つ一つが彼らの取るポジションと密接に関係していた。
映画「ヴァニラ・スカイ」のラストシーンで、アルバム「( )」収録のT4 (通称Nothing Song)が流れるのだけど、よくよく聴いてみるとどうやら英語(?)のようだ。"You don't Know〜”と繰り返している。サントラ用のヴァージョン違いなんだろうか、しかしサントラにも入っていない…
ちなみに殆どの曲中で聴かれるドローンのようなフィードバックは件の弓弾きによって得られるサウンド。有名なジミー・ペイジのアレ。バンド・メンバーが冗談でジョンジー(?)に誕生日プレゼントとして渡したらこれがピタリとはまったとかなんとか、そんな話を聞きました。
Posted by muzseek at
|
(1)
|
November 17, 2004
Sweet Dreams for Fishmans / Various Artists
『ナイトクルージング』試聴はこちら
(mp3)
大切だったこと
ぼくがフィッシュマンズに教えてもらったことは、思っていた以上に大きい。今になってもそう思う。
フィッシュマンズはバンド・ブームの冷めきった1991年にデビューした。脱力しきったレゲェのスタイルと、同じくらいにイベント性の無い詞。でもその裏に流れる毒に溢れた音作りと詞の持つ世界観、地味ながらもアルバム発表ごとにバンドは進化する。3rdアルバムのNeo Yankees' HolidayでエンジニアにZakを迎えたあたりから、音のそぎ落としと詞世界に磨きがかかり、その後Orange、Oh! Mountainを経て、佐藤伸治(Vo/Gr)、柏原譲(Bs、現在Polarisに参加)、茂木欣一(Dr、現東京スカパラダイスオーケストラ)の3人体制となる。
1995年にメジャーPolydorへと移籍。以降空中キャンプ、Long Season(一発録り!)、宇宙、日本、世田谷と、発表ごとに日本のポップミュージックではあり得ないほど作り込まれた音響を提示し続ける。しかし1998年発表のEP ゆらめき in the Airを最後に、ボーカル佐藤が当時流行したインフルエンザで急逝、バンドは解散する。
クラムボン、曽我部恵一、UA、をはじめとして12組のアーティストがそれぞれの解釈で挑んだフィッシュマンズ・トリビュート。T2 ナイトクルージングでオリジナルを凌駕せんばかりの隙間ぶりを魅せるクラムボン、ポリドール移籍前のあの頃の音を彷彿とさせるT10 感謝(驚)を取り上げたbonobos、原曲の切なさをさらにむき出しにするSTUKAの歌うT4 誰かを捜そう。昨今の安易な低予算カバー/コンピレーション集には無い、フィッシュマンズの持っていた多面性や温度をしっかりと捉え、憧憬と敬愛に溢れた一枚になっている。
佐藤伸治の描く日常との接点を失うことのない、ちいさな声の賛歌。ひとつひとつの曲に詰め込まれた奥行きある世界。やっていたことのコアなこととは逆に、彼らの曲はとてもポップに響く。日本の音楽シーンに於いてはとても稀な瞬間があの頃、鳴っていた。
失われた音はしかし、ここでもういちど取り戻されている。そしてまた、きっと素敵な音を携えた人たちが現れてくれるはず。そんなことを願ってやまない。
(By Q Okada)
【製品情報】
Amazon価格: ¥2,661
オリジナル盤発売:2004年
Posted by muzseek at
|
(0)
|
September 13, 2004
Unplugged / The Corrs
『ONLY WHEN I SLEEP』試聴はこちら
(Real Player)
“ホッと一息”もとい“ホッと一枚”は、いかが?
1990年に結成された4兄妹バンド、ザ・コアーズ。メンバー出身のアイルランドでは古くからケルトという伝統的な音楽が盛んである。簡単に説明すると、フィドルと呼ばれるバイオリンに似た弦楽器を始め、アイリッシュ・ハープ、アコーディオン等、数々の民族楽器を用い、楽曲は日本の歌と似ている五音階形式で作られている。
コアーズのアルバム累計セールスは、全世界で2000万枚を超え、もはやアイリッシュ・トラッドをポップスに昇華させた現在一番“身近”で“メジャー”なグループと言っても過言ではない。今回はMTVアンプラグドに収録された作品『Unplugged』を紹介しよう!
MTVアンプラグドとは、ミュージックシーンを代表するアーティスト達の魅力を伝えてきたライブ企画番組。通常のコンサートとは違って、TVでの映像を考えながら録画されている為、2、3曲進行すると一時的に演奏がストップされる事もあるそう。
だが、アーティストにとってはオーディエンスとコミュニケーションを取りながらリラックスした状態で出来るらしい。なるほど納得! ジャケットに使われている、イスに腰を掛けながら演奏するメンバーの表情を見れば、その意味が理解できる。 「Ladys and gentleman please welcome to The corrs!」という掛け声がかかると、会場からは、大きな拍手と口笛が鳴り、いよいよステージの幕開けだ!
オープニングを飾るのは『ONLY WHEN I SLEEP』。アンドレアの声は、強弱、音程、タイミング、と全てにおいて最良のものを出すぞという決意がビシバシ伝わってくる。声そのものが、楽器として見事なまでにコントロールされているのだ。ジムのギターはスローリズムの中でメロディを後押しするスパイス効果を持ち、間奏で聞けるシャロンのバイオリンソロは、徐々に勢いが増し、ギター音と共に後半への盛り上がりに繋がっていく。
そして、キャロラインのドラムは、激しく強くというより、一つ一つを丁寧に叩き、まるで周りの音を包み込むような優しさがあり、初っ端から4兄妹による阿吽の呼吸が感じられる。コアーズの世界観にぐいぐい引き込まれ、その後の展開には否応ナシに期待感があおられます!
歌詞の世界を覗いてみると『WHAT CAN I DO』『RUNAWAY』『DREAMS』等、愛をテーマにした楽曲では、「どうしたら愛してもらえるの?」とか「あたしはあなたの何?」という内容が歌われていて、こんなネチネチした女は御免だわっ! と同性の立場からしても思ってしまう。が、しつこさなど微塵も感じない澄んだ声で、何とも綺麗サッパリ浄化された印象を受けるから不思議!ハッキリ言ってボイスマジックです。声と言えば、『NO FRONTIERS』では、シャロンとキャロラインのデュエットだが、姉妹だけあって声質は似ているけれど、ビミョ~に違う所に気持ちよさと個々の個性が感じられて面白い。
インストゥルメンタルナンバーの『TOSS THE FEATHERS』と『LOUGH ERIN SHORE』では、冒頭で触れたアイルランドの民族楽器が楽しめる。まず、アンドレアが奏でているのは、リコーダーに近い音を出すTin Whistle(ティン・ホイッスル)という、六つの穴が空いたシンプルな楽器だ。高音でも耳にキーンと響くような感じはなく、むしろ心地良いくらい。
そしてもう一つ、キャロラインが素手で演奏しているのは、片側のみ皮をはった片面太鼓(ドラム・パーカッション)で、Bodhran(バウロン)と呼ばれている。ドラムに比べて、ポンポコポンポコと可愛らしい音なのだが、後半から、徐々にスピードをあげ一転して逞しい音に変化する。ここで、耳を済まして聞いていると、僅かながら2人の息使いが聞こえてくるではないか! 落ち着いたステージの中で一瞬、緊張が走る様子が伝わり、ゴクリとツバを呑んでしまう。演奏終了後、どよめきがおこるのもうなずける。
全編を通し、バックにクラシックオーケストラの演奏が加わっても、厳かなイメージというよりは、聞きやすいと言ってしまうと安易かもしれないけれど、実際、とっても身近なのだ。くつろげるのはステージ上のメンバーだけではなく聞き手も同じ。だからこそ、“リラックス”の相乗効果が、生まれるのかもしれないね...
(By 藤重亜美)
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
【製品情報】
Amazon価格:¥2,893 (税込)
CD発売:(2003/01/06)
Posted by muzseek at
|
(0)
|
September 07, 2004
The Classic Of Todd Rundgren / Todd Rundgren

『A Drean Goes On Forever』の試聴はこちら
(Real Player)
ギタリスト、ソングライター、プロデューサー、エンジニア、ソフト開発者など稀に見る多才なアーティスト、トッド・ラングレン。ビートルズやローリング・ストーンズの影響を受け、1967年18歳のときより本格的に音楽活動を開始した彼の歴史は長い。(ちなみに顔も長い)
今年には通算18枚目となるアルバム『Liars』を発表。現在55歳になるトッドだが、来月10月には約2年ぶりとなるジャパン・ツアーを控えているバリバリの現役だ。天性のメロディー・メーカーとして数々の名曲を残し、またコンピューター技術を積極的に取り入れるなどの時代と共に変化をし続けた彼の活動は多くの人に称えられ、HMV.co.jpにて100人の偉大なアーティストに選出されている。
彼を取り巻く環境の中で興味があるところは、ソウル・R&Bのリスナーからも支持されているところ。そしてそれが一つの形となって表れているのがFree Soulからの『The Classic of Todd Rundgren』だろう。収録曲は9つのアルバムから厳選し、ジャンルとか限らず、また素人・玄人問わず全ての音楽ファンが楽しめる作品となっている。
切ないピアノのトラックが印象的でシングル・ヒットしたT10『Hello It’s Me』。ポップで軽快なT2『We Gotta Get You A Woman』、T6 『I Saw The Light』など素晴らしい曲を上げれば切りがない。ただやはり、決定的な美メロの傑作T13『A Dream Goes On Forever』が心を打つ。同じくFree Soul 『DREAM』の最後に収録されていて、監修を行う元BOUNCE編集長 橋本徹氏は数ある良曲の中「DREAMの収録曲はこの曲の前フリ」とコメントを残すほどの絶賛をした。
トッド・ラングレンについてはWebを含めた様々なメディアで語られてきているため、今回のレビューを書くにあたって色々と参考にさせていただいた。実際GoogleでTodd Rundgrenと検索をかけても11万件以上ものウェブサイトが引っかかるぐらいだ。それ程に多くの人から愛されているということだろう。人は何を聴くべきか知っている――。
(By Koichi, I)
*ご紹介した製品とは異なりますが、ベスト盤である『The Best Of Todd Rundgren』はこちら。
【製品情報】
Amazon価格:¥2,394 (税込)
CD発売:(1998/02/25)
今回の紹介したトッド・ラングレン『Hello It’s Me』と『A Dream Goes On Forever』は、ソフィア・コッポラの初監督作『Virgin Suicides』のサントラにも収録しています。流石ですね、ソフィアさん。
【製品情報】
Amazon価格:¥1,761 (税込)
CD発売:(2001/07/09)
(関連Page)
Lost In Translation / OST
Posted by muzseek at
|
(0)
|
August 20, 2004
Modern Lights / Orange Pekoe
『夜明けの歌』試聴はこちら
(mp3)
日本発のポップ・ミュージックには珍しく、クラブ/ジャズ・サイドからのサポートも厚いOrange Pekoe。藤本一馬とナガシマトモコの二人からなるこのユニットは、1998年の結成からライブを中心にした活動からブレイクし、2002年にメジャーから『Orange Plastic Music』でデビューしている。カンバラクニエによるジャケットデザインが印象的だったので、覚えている方も多いかと思う。タイトル通りに生演奏と藤本の傾倒する.compost/Schema的エレクトロニクスが有機的に組み合った出色の作品だった。
殆どベスト・アルバム状態だった1stほどの衝撃度は無いにせよ、昨年発表の2nd『Modern Lights』はさらにディープにジャズへのアプローチを試み、アルバム全体の統一性はさらに増している。16名による完全一発録りを敢行したビッグ・バンド・チューンT2 『極楽鳥』。マイクがハウっても気にしない、見事なバップの一曲T4『スウィート・ムービー』。T5 『蓮』、T7『キセキ』で魅せる切れ味の増したビート。前作からさらに深まったブラジリタージが素晴らしいT8、T12。アフリカン・トライバルが心地よいT3 『夜明けの歌』。これだけミュージシャン・シップとヴァラエティに富み、かつポップらしい歌心は失われていない。
今夏発売された3rdアルバムは筆者未聴だが、先行のシングルを聴く限り一層スイングとドライブ感が増し、こちらも非常に楽しみなところだ。夏の夜にベランダでコロナでも片手にゆったりと楽しんで欲しい。
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
(By Yuichi Okada )
【製品情報】
Amazon価格: ¥1,200-2,753
オリジナル盤発売:2003年
Posted by muzseek at
|
(0)
|
August 13, 2004
OUT OF REASON / OCEANLANE
『All You Miss』試聴はこちら
(Real Player)
彼らの勢いは止まらない――。今年は遂にSUMMER SONICへの出演も果たしたOCEANLANE。
大好評だった1stアルバム『On my way back home』に続き、今度は映画『16歳の合衆国』(ケヴィンスペイシー製作 / 2004年夏公開) のイメージソングとしてマキシシングル『OUT OF REASON』をリリースした。
-----------
今回も以前と同様、友人であるギタリストKayのMuzseek独占インタビューです。
― とりあえずサマソニお疲れさま。OCEANLANEとしてあれほどのビックステージは初めてだったと思うけど、率直な感想を聞かせて。
とにかくエンジョイしました。でかいところは演奏してて気持ちよくて、楽しいの一言。お客さんも朝早かったけど沢山来てくれて嬉しかったです。
大好きなバンドのGreen DayやJUDAも一緒の日だったので、ずっとこの日を待ちわびていました。何年も前から客としてサマソニに行っていたので、やっと自分もプレイできて本当によかった。来年も絶対出たいですね!
― ちなみにそこで今回の新曲は演奏したのかな(行けなくてごめん!)? もししていたら多分舞台でやるの初めてだったと思うけど、反応いかがだった?
前にラジオやアコースティックライブでやったので初でもないけど、バンドでやるのは初でしたね。反応はかなりよかったと思います。興奮しててあんまり覚えてないですが…(笑。
― ではその新曲について聞いてみましょ。今回は映画のイメージソングとして依頼されたんだよね?
まず、映画の配給会社アスミックのほうから試写会に招待されまして映画を見に行きました。見終わったらすごく悲しい映画で心にぽっかり穴が空いた感じだった。その直後に配給会社の方から曲を書いてみないかとオファーがあって、絶対にやりたいって直感で思いました。それから体が燃えてきましたね。その日は家に帰ってわくわくしながら曲づくりを始めました。
― 『All You Miss』『Answer To This Flower』はそれぞれどんなイメージで作ったのかな?
『All You Miss』はHAJIME君が書いた曲で、主人公のリ-ランドのことについて歌っていると言っていました。とても悲しい話なんですけど、そこにある希望を表現したいと。歌詞は難しいけどいい曲ですね。
『Answer To This Flower』は俺が映画の主人公になりきって彼が訴えたいことは何なのか、もし彼が曲を書くならこんな歌詞を書いてみるんじゃないかなと想像して書きました。彼の心の中に入って彼の叫びを表現したいと思いました。
― 今回はkayが思いっきり歌っている曲(『Answer To This Flower』)があるわけだけれども、シンガーとしてのkay君は自分的にいかがな感じ?
アルバムの時よりはうまく歌えたかな?(笑 歌うと自分が表現したい感情が出せると思いました。曲を作っている時はいつも歌うのですが、その中でこの曲は俺しか歌うやつがいないと思いましたね。すごく気にいってる曲です。
― それでは最後にマキシシングルのタイトル『OUT OF REASON』について、どんな思いでつけたのか教えて。
これは直訳すると“道理から外れる・途方もない”という意味なんですけど、映画を見てやっぱり人の命を奪うという行為は絶対にやってはいけないことだと思って。この世に生まれてきた人は、誰もがその人なりに一生懸命生きて何か学ぶんじゃないかと思うんですよ。そういう意味も込めています。
この映画は見た人によってかなり印象が違うと思うんですけど、俺は人に悪いことをすればそれがまた自分にも返ってくるという一つのテーマみたいなものを感じました。
― 今回もインタビューありがとう。これからも応援するよ。
(By Koichi, I)
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
【製品情報】
Amazon価格:¥1,200 (税込)
CD発売:2004/08/04
(関連Page)
On my way back home / OCEANLANE
Posted by muzseek at
|
(0)
|
July 20, 2004
Loveless / My Bloody Valentine
『To Here Knows When』試聴はこちら
(mp3)
トランスルーセントもしくはワールド・イズ・マイン
完璧な世界がある。全ての物があるべきところに収まり、ほんの少しの必要も不要も無い。ジョン・ケージあたりに言わせればそんなものは只のフィクションでしかなく、人の生きる限りまつわりつく業なのだろうけれど、とにかくアートは常にそんな世界を夢見てきた。
そしてロックという音楽も例外なくそうだった。ギター、ベース、ドラム、そしてボーカル。今となっては非常に保守的な、そんな古色なスタイルをしかし極限まで追い詰めた音を、エンターテイメントの囲いの外へ。そんな精神がいつの時代にもある。
アイルランド、ダブリンにて結成されたバンドMy Bloody Valentineは、Kevin Shieldsを中心に度々メンバーを替えつつ何枚かの冴えないEPをリリースしていた。1987年にヴォーカリストとしてBilinda Butcher迎え、当時まだインディー・レーベルの一派だったクリエイションと契約したあたりでバンンドの方向性は定まり、1st アルバム『Isn't Anything』をリリース。ライブ中、足下を見つめてギターをかき鳴らす姿からShoegazerと呼ばれる内省的なスタイルを確立した。しかしこのときの彼らはまだ以前からのJesus & Mary Chain的轟音ギターの地平にあった。
91年、『Loveless』発表。
ロックという枠を超え、それ自身のための孤高の場を創造したこの作品には、ケヴィン・シールズの異常ともいえるほどに完璧な音世界が詰め込まれている。一聴それはただのギター・ノイズかもしれない。だが一つ一つの音は他の音と美しく溶解し、半透明で暖かな結晶として在る。それまでのロックにおいて一面的にしか扱われてこなかったノイズたちがここでは生命として脈を打ち、分厚く蠢く。メロディーはその音の海間にゆったりと混じり合う。そしてこれら全てが、たった幾つかの楽器と声によって(勿論一本ではないだろうが)生まれでてくることの驚き。
このアルバムがシーンに与えた影響は語うるべくもない。 ロックという音楽は、この作品によってある極限を向かえてしまったのだから。多くのフォロワーが彼らの後に続いた。Slowdive、Chapter house、Ride、そして現在もPia FrausやMono、他一連のギター系音響グループらにその軌跡が窺える。
だが10余年を経た今も、『Loveless』の持つ鮮やかな光彩は失われていない。
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
(By Yuichi Okada )
【製品情報】
Amazon価格: ¥980 (そんなに安いのか…)
オリジナル盤発売:1991年
From the Alternative Point of View
技術的に見てみれば、マイブラの、翻ってケヴィン・シールズのこの時期のミキシングはまだ未熟だ。トラックによってはあからさまに?なバランスの物もある。けれどギターを使った音響的な着想の見事さは凄いの一言だ。さすがに20人を超えるエンジニアと5000万とも言われるバジェット(実際当時のインディーズとしてはあり得ない額の予算。これのせいでクリエイションは一時期潰れる寸前だった。Oasisの成功のおかげでようやく持ち直したそうだ)をかけただけある?
典型的なマイブラ・サウンドといえるT4 To Here Knows Whenではそれが如何無く発揮されている。冒頭に鳴っているフルート的な音、背後で通奏低音のように響く音、アームを使ったドローンサウンド、全てギターである。EQの加減で足りない帯域(特に中低域)を全てギターやそのフィードバックで埋めてしまう、ある意味でフィル・スペクター的ウォール・オブ・サウンドだ。このへんはJesus & Mary Chainも同様のやり方をしている。全体的なミキシングとしてはドラムやボーカルを常に後ろへ置く、非常に非ロック的な作りでもある。
ドラムといえば、ケヴィンは幾つかのトラックで一度録ったドラムが気に入らず、ドラムを全てサンプラーでばらし、打ち込み直すなど、かなりな偏質的にこだわっていたらしい。録り直せよ…。ラスト・トラックのT11 Soonでその後のプライマルとの絡みも納得のマンチェスター・サウンドも登場するあたり、結構その手の機材には詳しかったのか。
以前読んだケヴィン本人のインタヴューによると、音圧のことで彼は常に頭を悩ましたそうだ。なのかどうか、コンプの使い方なぞは結構無茶苦茶だったりする。マイブラのトラックは基本的に今流行のガッツリと全体に掛けるコンプで音圧を出していない。潰したギター/ノイズ/その他ををパニングとコーラス/リヴァーブを使ってあの分厚い音像を作っているのが分かる。アコギを潰してクリーンな方と共に左右へ配置して片方をリズムのアタックのみでパーカッション的に使うなど(T8 Sometimes)、工夫が施されていて面白い。意外にもリヴァーブはそれほど深めにかけず、使われるギターの本数も実は多くない(一曲につき5、6本)。逆にボーカルは何本ものテイクを重ねてあの独特のコーラス効果を作ったという。
とにかく再結成の話題は尽きない。今年もLost in Translationの盛り上がりもあって、ながらく廃盤のシングルBサイド集が出るとAmazonなんかでも予約受付していたけど、結局立ち消えになってしまった、残念…
Posted by muzseek at
|
(0)
|
June 12, 2004
Love Is Hell / Ryan Adams
『This House Is Not For Sale』試聴はこちら
(Real Player)
自らを気まぐれな多産家ともよんでいるライアン・アダムスの『Love Is Hell』を紹介。もともと2003年にレコード会社の都合で別々のEPとして発売したが、先月にその2枚に収録されてた全曲(4曲作り直し)+『Rock N Roll』収録の『Does Anybody Want To Take Me Home』を加え再リリースとなった。
ライアンのどこが好きと聞かれたら、彼の生々しい感情のこもった声と天から舞い降りたギフトのような美しいメロディーを持つ純粋なLove Songだと思う。前作の『Gold』と『Demolition』からファンになってしまったのだが、今回の作品は今までにないライアンの自由でバラエティーに富んだ歌声が聴ける。純粋で哀しげに叫ぶ声にはいつも耳が奪われる。
従来のカントリーテイストなアコースティックの弾き語りはもちろん、どんなタイプの楽曲でも自分のものとして消化し、吐き出してしまう多才ぶりには、本当にアーティストとして尊敬してしまう。T6にはOASISのカヴァーとなる『Wonder wall』が収録されているが、原曲とは違った輝きを放っているので、是非OASIS好きの人にも聞いて欲しい。
この2つのアルバムには、有名なアーティスト達がいつも宿泊していたといわれるチェルシーホテルが1つのキーワードとして歌詞に何度か登場する。T3『This house is not for sale』ではまるで“自分が幽霊にでもなったかの様”な、またT14『English Girls Approximately』では“イギリスの女の子をからかう様”な歌詞の世界も、不思議でユーモアのあるものが多く自分でいろんな想像して楽しむのもなかなかいい。
(By Kay from OCEANLANE )
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
【製品情報】
Amazon価格:¥1,626 (税込)
CD発売:(2004/05/04)
Posted by muzseek at
|
(0)
|
June 06, 2004
Millions Now Living Will Never Die / Tortoise
『Gamera』試聴はこちら
(mp3)
ロックというのは不可解な音楽だ。 ひたすらレーベル(レッテルというのか、この場合)を嫌い、全てに向かって「NO!」というサインをスプレイでまき散らしながら、自らは常に過剰なコマーシャリズムの末に瓦解し、そして再構築する。 その度に何かスリリングなことが起こる。
そう、Tortoiseをロックにカテゴライズすべきなのかどうか?このシカゴ出身の5人組のグループ、基本フォーマットは保守的なほどロックだ。 ギターを中心にして、100人中100人が ”バンドだ” と思うだろう、そんな編成である。
だが彼らの音楽的素養 (全員が複数の楽器を担当する) やサイドプロジェクトの充実ぶりは他のバンドにはあまり見受けられない。 特にキーパーソンであり、ドラムを中心にプロデュース業まで手がけるJohn McEntireはSea and Cakeで同じくドラム/音響を担当、自身のスタジオ ”Soma Electronic Studio” を運営するエンジニアでもある。
マッケンタイアの眼差しはロック的とは言い難い 「音そのもの」 に注がれている。 曲のある箇所ではビートが捩じれ、壊れ、一方でギターやベースがフィルターを通って別の楽器/音響装置に成り果てたり、柔らかく響くヴィブラフォンの残響音が解像度の低いエイリアス・ノイズにまみれていたりする。 それでいて決してアート/エクスペリメンタルに陥らない、ギリギリのラインでこうした要素を聴かせる。
『Millions Now Living Will Never Die』はTortoiseが96年に発表し、シカゴ/音響系とも称されるジャンルを確立した、2枚目のアルバムだ。 ロックの持つダイナミズムやメロディ性を保ちつつも、前作から続く独自の音響実験をさらに推し進めている。
T1の20分に及ぶ『Djed』の、ゆったりと変容する展開の巧妙さもあるが、ここであえて日本盤にリンクしたのはT7 『Gamera』がボーナストラックとして収録されているためだ。 アコースティックギターの素朴なメロディから徐々にバンド全体のうねりが紐解かれてゆく、95年に12”のみでリリースされたこの曲をTortoiseのベストとして挙げるファンも多い。
今年、6枚目になるアルバム『It's All Around You』を発表したTortoise、彼らのロック解体はまだ終わらない。
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
(By Yuichi Okada )
【製品情報】
Amazon価格: ¥2,447
オリジナル盤発売:1996年
Posted by muzseek at
|
(1)
|
June 02, 2004
CIRCUDELICA / The circulators

『Breeze』試聴はこちら
(Real Player)
「一体何者なんだ!?」 下北沢の小さなライブハウスで衝撃的な出会いをしたのが今から3ヶ月前。
年間150本近くのライブに参戦している私だが、演奏が始まった瞬間、一目見て恋に落ちてしまうように耳のモードをスイッチオンにしたバンド、その名は、The circulators(ザ・サーキュレーターズ)。以前から同じバンドで活動していた棚橋(ギター)と高仲(ドラム)、佐藤(ベース)の3人で2002年に結成。その後、星(ボーカル/ギター)が加わり現在、月3本ペースでライブ活動を展開中。
今年2月25日に発売された1st mini album 『CIRCUDELICA』全6曲、一気に点火して燃え尽きる炎のような感じの仕上がりとでも言おうか。消えた後に煙が目に染みたり、焦げた匂いがしないのが彼らの特徴。
音の余韻を楽しむというより、“燃えている=今”という瞬間に思いのたけが吐き出されている。音の重みとヴォーカルのひんやりとしたような、それでいて気取りのない切実な叫びのバランスが絶妙で、この2つがMIXされる事により、ガラスをバリバリにわってしまう破壊力が生まれ、思わず後ずさりしてしまうような迫力と緊張感で期待が高まる。メリハリの利いたスネアも、ギターソロの始まりも、この音じゃなきゃ絶対にダメなのだ! という主張が、演奏の隅々にまで漲っているのだ。
カート・コバーン(ニルヴァーナ)みたいに歌いたくて、声がしゃがれてしまったというヴォーカル。ミッシェル・ガン・エレファント、チバユウスケ氏の存在を浮かべてしまった。声が、似ているのだ。が、カテゴリーは一緒でも耳触りは違う。ギリギリまでリミッターがかかり、時々、限界を超える星の声は、所詮、人間は一人なんだという、どこか孤独な空気がまとわりついている。
『キリギリス』という楽曲では“君達と同じ灯を見る為に 傷ついてきたんだ”と歌われているのだが、メンバー4人それぞれのバンド歴は長く、失敗を重ね、これで最後だという思いがリアルに伝わってくる。
ラストを飾る『コスモリア』では、“感動はいらない 終わりにしよう”と歌いながらも、“限りある遥かな日を訪れる最期の日に 死ぬまで”という歌詞で締めくくり、苦しくても生きていかねばならない気持ちを熱く奏でている。 「生活してて楽しいことなんかないよなぁ」と語るままの心情が歌われ、歌と歌い手の間が実にダイレクト!
全編通して、フェイドアウトで終わっても、カットアウトで終わるようアグレッシブな感じからボコボコにやられても立ち上がる孤独なボクサーを連想させられた。彼らのアッパーとキックという名のサウンドとメッセージが、聞き手の脳ミソにもボディに効くのだ!
これこそが、あの強烈な印象を生み出した最大の要因なのではないだろうか・・・。
(By 藤重亜美)
【製品情報】
Amazon価格:――
CD発売:2004.2.25
Posted by muzseek at
|
(0)
|
May 06, 2004
Honkin' on Bobo / AEROSMITH
『Road Runner』視聴はこちら
(Real Player)
AEROSMITH3年振りのアルバム『Honkin' on Bobo』が今年3月に発売された。タイトルに使われている“honk”そして“bobo”という言葉は、アフロ・アメリカンの俗語で性的な意味を表す。国内初回版のジャケットの中には、今にもクネクネと動き出しそうな艶かしい腰がピックアップされ、聞く前から淫靡な匂いプンプン!
しかし単にエロティックな気分になるだけじゃあない。今作は、60年代のブルースファンも感涙するようなカバーナンバー満載のエアロ版“ブルース”アルバムなのだ!
制作にあたり、自分達がより楽しめるスタイルを考えた結果、一発録りという形になった。その一瞬に全てのエネルギーが凝縮されて生まれるサウンドの勢いと、いい意味での緊張感が味わえるのは格別である。
オープニングは、60年代のブリティッシュ・ビートに多大な影響を与えたロックンロールのオリジネイターの一人、Bo Diddleyの『Road Runner』。前半戦は、音に華がある。鳴り響く全てがゴージャスで明るく、Steven Tylerの豪快な声は、プレイヤーから唇が飛び出てくるんじゃないの?と思うくらい、CDというより限りなく“生”に近い。ライブ会場にワープした気分で、思わず腰を振り、ジョーイのドラムのリズムに合わせて腕を振り上げ踊ってしまう。声とサウンドによる、勝負のつかない綱引きが繰り広げられている!
中盤、Aretha Franklinの『Never Loved a Girl』では、全体的にしっとりとした印象を受ける。女性シンガーの曲をカバーすると、こんな切ないエアロを感じられるのね。Joe PerryがボーカルをとるMississippi Fred McDowell『Back Back Train』では、ヨーロッパの民族楽器Hurdy Gurdyがいい味出してる。これは、木製のホイールで弦をこすって音を出すバイオリンと同じ擦弦楽器なのだが、ビヨ~ンという何とも魅力的な音色でグッときちゃう! さらに唯一の新曲となっている『The Grind』では、恋人を忘れられない男の苦悩が歌われている。
後半戦でMuddy Waters『I'm Ready』をもってくる辺り、うまいなぁ…と感心してしまいます。ここで、大人の男の色気とテクニックを披露し、歌詞の様に“野暮じゃないじゃないトコ”見せてくれちゃって、最後まで音の感情もパターン化せずに自然に引き込まれてしまう流れを持っている。
制作スタッフとプロデューサーは77年に組んでいた頃と同じ顔ぶれ。Johnnie Johnsonの明るいピアノサウンドが加わる事でエアロのロック魂が、女性コーラスTracy Bonhamのハスキーボイスでエアロの艶の部分を見事に引き出してくれたように感じる。バンドの癖を良く知り、それをプラスに繋げられるようなメンツが揃ったという訳だ。
「ガキの頃、怒鳴られてばかりだった俺達が馬鹿デカイショーに出たり、ロックの殿堂入りを果たしたり、あまりに楽しい事ばかり。だから辞める気がしないんだ」
これは、成功への秘訣について問われた際のスティーブンの言葉だが、今回も心底楽しみながら演奏出来た事が、色んな人に満足してもらえる内容に仕上がった何よりの要因ではないだろうか。 感情の波動は伝染するのだ。
(Ami Fujishige)
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
【製品情報】
Amazon価格:¥1,580 (税込)
オリジナル盤発売日: 2004/03/30
AEROSMITH来日公演・イベント出演の日程(詳細はこちら)
・7/10(土) 札幌ドーム
・7/13(火) 大阪ドーム
・7/15(木) 広島グリーンアリーナ
・7/17(土) 名古屋ドーム
・7/20(火) 東京ドーム
・7/24(土) 横浜国際競技場
http://blog.melma.com/00120231/20040908151835
Posted by muzseek at
|
(0)
|
April 23, 2004
Sangatsu / Sangatsu
『Five Days』試聴はこちら
(mp3)
音にまつわる映像etc
サンガツについて知っていることは、あまり無い。日本人、ヴォーカルがいない、ドラムが二人いる、ギターが二人、ベースが一人。だけど彼らの音楽はそういった編成の奇抜さとは無関係に、ポップミュージック/ロックの文脈から自由に、無理せず逃れていこうとする。燃え上がるようでも無く、ドス黒くもない。彼らの音楽は常に平熱を保ったまま静かに、揺らめいている。
サンガツはトータス以降の(ネーミングとしてはどうあれ)ポスト・ロックの流れにあるバンドだ。そしてこの作品は彼らのデビュー作であり、3曲入りのれっきとした「アルバム」である。プロデュースは御大ジム・オルーク、と帯に載せてあるけれど、別段トリッキーなプロダクションではない。尖りつつも暖かさを第一に置いた丁寧な造りだ。
そして全てはこのT1 『Five Days』に集約されている。繰り返される主フレーズと、それにゆったりと絡むメロディ。決して激しく主張しないこのスタイルは安易に聞き流されもするし、ラウンジ的にも扱われてしまいかねない。しかし端正な曲の構成がそういった事態を周到に排し、そしてバンド全体のダイナミズムがさらに大きなうねりを生み出す。続くインターミッション的T2を挟んだ T3 『Report』 の程よい緊張感とインプロ・セクションの緩急といい、このアルバムはヴァーチャルな映像作品とでも呼びたくなる、一つの流れをもった豊かなイメージを喚起してくれる。
それぞれが10分を超えるこれらのトラック(T3に至っては20分強)は、普段ポップミュージックのフォーマットに慣れた耳には異質に響くかもしれない。だが、4分間には詰め込めない必然性がそこにはある。彼らの描く世界はとてもスロウに連続する、綴れの映像なのだ。
ゆったりとした休みの日に、何もしていないときに、ほんの何十分をその世界で過ごすのも悪くない。
ジャケットが象徴するような眩しく晴れたり、といって雨が降り出すこともない、そんな気分。今の時代が常に忘れがちな、フラット/中庸であることの大切さを、彼らは示してくれる。
Sit Back, Relax, and Enjoy Your Flight.
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
(By Yuichi Okada )
【製品情報】
Amazon価格: ¥2,940
オリジナル盤発売:2000年
Posted by muzseek at
|
(0)
|
April 17, 2004
69/96 / Cornelius
小山田圭吾。89年に小沢健二率いるFLIPPER'S GUITARとしてデビューし、その後に3枚のアルバム、5枚のシングルを発表した後、91年にツアーをキャンセルしての突然の解散。
解散後は、トラットリアレーベルのプロデューサーとしてカヒミ・カリイやピチカートファイブをプロデュース。
そして93年シングル『太陽は僕の敵 The sun is my enemy』でcorneliusとしてソロデビュー。1人なのにバンドのような名前をつけた理由は「Tシャツを作りたかった」ためとのこと(笑)。
僕がcorneliusを知ったのはちょうど本作が出た頃で、1枚のアルバムがめくるめく展開される短編映画集のようで好きでした。今はだいぶエレクトロニカよりなサウンドになっていますが、当時はもっとロック色が強く、T8 『Last Night In Africa』のオープニングで流れる「it began in africa」後の合わせは鳥肌もん。ギターのメロディーセンスと重いドラムのグルーブ感はROCKしまくってます。世界的デビューのステップにもなった次々作の『FANTASMA』も長々と書きたい超名盤ですが、敢えてその前の名作を紹介しました。
プロデュース業、サウンドクリエーター、デザイナー…。数々のジャンルを見事にこなし、世界にアピールしながらも、一人でゲームしながら遊んでる子供の様に思えるスタイル。
現在の彼は映像の方に力を入れていてアルバム『POINT』の中に入っているT8 『I Hate Hate』のPVなんか見ていただけると彼の昔と今を一気に楽しめるのでは。
(By Aren Suzuki)
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
【製品情報】
Amazon価格:¥2,905 (税込)
CD発売: (1995/11/01)
Posted by muzseek at
|
(1)
|
April 10, 2004
Type III / Paris Match
『Deep Inside』視聴はこちら
(Real Player)
“大人のための音楽”をコンセプトに展開するaosis records。その中の顔と呼べるユニットが、古澤大、杉山洋介そしてミズノマリからなるParis Match(パリス・マッチ)だ。
彼らの音楽を表現するなら“大人のクラブ・ミュージック”と言えるだろうか。「J-POPなんてダサくて聞けない!でも日本語聞きたいしー、何がいいかわかんな~い」ってな人には、まさに打ってつけ。
また、Wyolicaやorange pekoeは知られてきちゃったので、ちょっとした音楽通として車に乗せてドライブの際、助手席の女性に「いいね、何これ~?」と聞かれて――「だろ?」(最高に気持ちE言葉の一つ)と答えるには今、これしかない!
古澤と杉山の両氏が奏でるナチュラルで花のあるお洒落サウンドに、何といっても透き通ったミズノマリのヴォーカルが最高。SadeやThe Style Councilなんかが好きな人にもオススメだ。
今回紹介した3rd『Type 3』以外のアルバムももちろん要チェック。気になる人は、aosis recordsのオフィシャルサイトから発売しているほとんどの曲を視聴できるので、“大人の音楽”を心行くまで堪能してほしい。
(By Koichi, I)
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
【製品情報】
Amazon価格:¥2,588
オリジナル盤発売:(2002/06/21)
Posted by muzseek at
|
(0)
|
March 04, 2004
Get Born / Jet
『Are You Gonna Be My Girl』試聴はこちら
(Real Player)
古き良きロック黄金時代の再来か!? リフの効いた王道ロックンロール。オーストラリア気鋭の新人、ジェット。彼らの顔を知らない人でも、iPodのCMソング『Are You Gonna Be My Girl』を聴けばピンとくるはず! とにかくキレが良くて、気合入りまくりのサウンドに完全ノックアウトされてしまった。
ストーンズのキース・リチャーズに認められ、ストーンズのオーストラリアツアーの前座も勤めていたとか。『Cold Hard Bitch』ではAC/DCを彷彿させ、バラードソング(『Look What You’ve Done』『Move on』)の完成度も高い。
2月上旬に行なわれたジャパンツアーも、追加公演が行なわれたほどの人気ぶり。ヨーロッパ、カナダ、アメリカ…。彼らは今、様々な国でウェルカムされているのだが、彼らの音楽が多くの人を魅了す理由は、誰が聴いても「ロックしている」という解かり易さにあるのだろう。
(By Miwa Yamada)
*画像もしくは、こちらをクリックするとAmazonから購入できます。
『Are You Gonna Be My Girl』 Lyrics
【製品情報】
Amazon価格:¥1,561
オリジナル盤発売:2003/10/07
Posted by muzseek at
|
(1)
|
March 02, 2004
On My Way Back Home / Oceanlane
『Sign』の試聴はこちら
(Real Player)
知る人ぞ知る2004年大注目のロックバンドOceanlaneが2月4日、遂にアルバムデビューを果たした。メンバーは、ロサンゼルス育ちのHAJIME(Vo&Gt)とイギリス人の父を持ち、高校時代をイギリスで過ごしたKay(Gt &Vo)。
昨年の12月にはアメリカ西海岸で絶大な人気を誇るThe All American Rejectsの来日公演をサポート、翌年1月には日本初上陸を果たしたロック・フェス「Vans Wraped Tour’04 Winter」にも参加し、今急成長を遂げている。
-----------
今回は、友人でもあるOceanlaneのギタリスト、KayのMuzseek独占インタビューです。
― 2人(Hajime & Kay)の出会い、現在までの経緯について教えてください。
Hajimeとは中学からの同級生で聞いているバンドも同じだったりした。そこでお互いにかっこいいバンドのCDを貸し合っていたりして、2000年ぐらいからドラムとベースを入れてバンドを始めてみようということになりました。
最初の1年はひたすら曲を書き続けながらドラムとベースを探していたよ。それから2001年から同じ学校に通っている先輩(Ba)と友人(Dr)と一緒に活動をスタートさせた。
1年経って先輩(Ba)が抜け、新しいベースが入って、自主制作でシングル『Everlasting Scene』を作った。2003年3月にはベース、ドラムが脱退し、Ho Lee Kwen(Ba)とMasaya(Dr)と共に今回の1stアルバム『On my way back home』をレコーディングしました。
― Kayが尊敬しているアーティストは誰ですか。
好きで影響されたりするアーティストは沢山いるけど、Oasisのノエルギャラガー とかRadiohead,二-ルヤング、TravisのフランヒーリーやBlurとかだね。
― 今後どんな曲を作っていきたいと考えていますか。
とにかくいい曲、いいメロディーを書きたい。廃れないメロディーを。誰でもあると思うけどこの曲を聴くとあの頃を思い出すとか、そんな1曲になれるだけでも嬉しい。大事なのは曲がバンドからひとり立ちして人の心に深く刻まれることなんだと思います。
― 今回のアルバムでオススメの曲。また、曲をピックアップして少しずつ解説ください。
お勧めの曲を選ぶのは本当に難しいけど、3曲目の『Ships and Stars』とか5曲目の『Million』は結構気に入っています。理想通りの曲に完成させることが出来たので、何回聴いてもらっても飽きないと思うよ。メロディーを変えたりしながら作ったので、仕上がるまで苦労しました。
7曲目の『Ten seconds』は激しい感じがあっていいかな。あと、8曲目の『Broken wings』は俺が歌ってます。今回のアルバムではコーラスが多いので、それ言うと知らない人は「えっ、Kay君も歌たってるんだー」と驚きます(笑。
― インタビューありがとう。Good Luck!
(By Koichi, I)
*画像もしくはこちらをクリックするとamazonから購入できます。
【製品情報】
Amazon価格:¥2,381
CD発売:2004/02/04
Posted by muzseek at
|
(0)
|
February 18, 2004
Hotel Paper / Michelle Branch
『The Game Of Love』の試聴はこちら
(Real Player推奨)
捨て曲無し。楽曲・詩共にバランスがとれ、前作品『The Sprit Room』からかなりの成長っぷりが見られる。
グラミー賞受賞曲「The Game of Love」(日本・UK盤のみ収録)ではサンタナに負けない存在感を残し、「Are You Happy Now?」や「Hotel Paper」では孤独や人生について唄う。「Tuesday Morning」で女の子の「今夜は帰りたくない」という気持ちをストレートかつ、キュートに表現し、大共感! 等身大で唄う彼女に、同性のファンが多いのも納得してしまう。
今や私の超お気に入りアルバムだけど、初めは『Hotel Paper』というタイトルにしっくり来なかった。その由来は、殆どの曲がツアー中に滞在した様々な国のホテルで書かれた為だそう。ちなみに「Where Are You Now?」は大阪のホテルでアコースティック・ギター片手に創られた曲。
(By Miwa Yamada)
*画像もしくは、こちらをクリックするとamazonから購入できます。
【製品情報】
Amazon価格:¥2400
CD発売:2003/06/25
Posted by muzseek at
|
(0)
|


















